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2013/10/06

「ソハの地下水道」

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 暗闇、悪臭、湿気、響き渡る水流の騒音、地上で大雨が降るとあふれてしまう。口径1メートル50センチの狭い空間。背はかがめないと歩けない。そんな地下水道の中でくらすことができますか?

 「ソハの地下水道」 ロバート・マーシャル著 杉田七重訳 集英社 を読みました。

 1943年ポーランド、ドイツの侵攻によりユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)が加速される中、地下水道に14ヶ月にわたって隠れていたユダヤ人たちと、金銭と引き換えに彼らをかくまったポーランド人ソハの物語。ノンフィクション。

 常に地面はぬるぬる湿気、カビとわけのわからない虫がはいずりまわり大量のねずみがわずかばかりのかびたパンくずに向かって飛びかかってくる。小さな子供二人を含む20人あまりの人が身を寄せ合ってかくれていました。

 地下水道に逃げ込む前に繰りひろげられた大量殺戮のフラッシュバック、密告により捕らえられるのではないかという恐怖。生水を飲むために慢性の腹下し。ソハが持ってきてくれるわずかばかりの食べ物を分ける。新しいパンは残しておいて古いかびたパンのかびをこそげながら食べる。

 持て余す時間、唯一のなぐさめは、ソハが持ってくる外界のニュース、新聞、雑誌。重い心の病に陥った7歳の女の子に下水管のふたをそっと開けて太陽の光をみせるソハ。

 解放の日、地下水道から生き延びて出てこれたのは、10人余り。背骨はゆがみ皮膚は湿疹だらけ、ぼろ着をまとい太陽の光がまともにみることが出来ない状態。、後の人はその生活に耐えられなくなって外界に出たとたんドイツ兵の射殺されたか、水道を流れる川に足を滑らせて溺死。病死1人。

 ことごとく養生とかけ離れた生活。恐怖と絶望とどうしようもない閉塞環境の中、少しずつ絆が深まっていく人たち。最悪の条件の中でも一筋の陽の光、新鮮な空気が希望の光になっていくのがわかりました。

 あたりまえの生活がどれだけすばらしいものであるかを再認識しました。

 

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