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2012/02/12

森は海の恋人

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 「海を再生させるために、森に木を植える」?「どういうこと?」 海と山、一見まったくかけ離れた場所から想像もつかないことでした。
 
 「森は海の恋人」 畠山重篤著 文藝春秋 を読みました。1980年代、おいしい牡蠣を育てるために一人の魚師が山に木を植え始めました。畠山さんは、気仙沼湾の牡蠣養殖の漁師。気仙沼に注ぐ大川上流の室根山は、国の政策により広葉樹を伐採して杉などの針葉樹を植えるようになりました。以来、大雨が降ると広大な広葉樹林がなくなったため山に保水力が無く、幾度となく大水害にみまわれました。植えられた針葉樹は、まだ若木で水を保水しきれなかったのです。30年後の現在は、大きくなった杉の花粉で困ることになりますが。

 森に降った雨は、腐葉土の養分をたくさん含んだ川の水となって海に注ぐ。プランクトンが、その栄養で大量に発生する。それを魚が食べにやってくる。漁師が豊富な魚を獲る。このサイクルのどれが欠けても森の民、海の民が困るわけで、森は海の恋人運動の火が付きました。漁師が山に木を植えること、そしてその木がクヌギや栃、桂、ブナなどの広葉樹であることの意味を知りました。話は気仙沼湾だけの話ではなく、ダムで川をせき止めても、自然の生態系が崩れ海が荒れて魚が寄り付かなくなってしまいます。

 折りしも昨年の3月11日の東日本大震災での大津波で、三陸海岸一帯の牡蠣の養殖は、壊滅的な被害を受けました。福島原子力発電所の、津波による放射能もれが海にも多大な被害を及ぼしています。小さな運動が人々の意識を変えていっている中、放射能汚染は予想外でした。

 恋人たちを引き裂く難敵があらたに増えてしまいました。 

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