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2010年12月

2010/12/29

ルーシー・リー展

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 まるい器に水平に視点をあわせてみる。ふちの繊細なカーブがゆるやかにゆがんでみえる。ガラスの向こうで佇んでいる器の貴婦人たちは、一つずつ微妙にゆがんで見えました。

 師走の底冷えする寒い昼下がり、大阪中ノ島にある大阪市立東洋陶磁美術館で開催されている「ルーシー・りー展」(ウイーン、ロンドン、都市に生きた陶芸家)に行きました。

 ルーシー・りー(1902-1995)はウィーンの裕福なユダヤ人家庭に生まれ、工業美術学校で轆轤(ろくろ)に魅せられました。戦争でロンドンに疎開。国際的な展覧会で何度も高い評価をうけました。日本では、彼女がつくった陶製のボタンをデザイナーの三宅一生が使用したことでも有名です。

 「あら、これ、ずれているわ」 正中が上下で微妙にずれている白い花器がありました。ハンドメイドの妙味。なんともおかしくて思わず顔がほころびました。

 ゆがんでいてもいいんだ・・・・・。まっすぐで対称でなくてもいいんだ・・・・・。微妙なゆがみのなかにゆとりが生まれ息抜ができる。ほんのちいさなずれは、精密機械では許されないけれど、この空間の中でしっかり足をつけて立っている。縛られた心が開放されるような感じを覚えました。

 手に取って見たいなぁ、と何度も思いました。
 

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2010/12/23

運動する子 しない子

 小学5年の女子は、4人に1人の割合で体育の授業以外は運動しないという結果が全国体力調査で報告されました。

 中学生になると部活動をして運動する子と帰宅部で運動しない子に2極化する傾向が強いそうです。

 成長期に運動すると筋肉がしっかりつきます。筋肉を栄養するためにたくさんの血液が身体の中を流動します。内臓を養う経気のエネルギーは太く大きくなり内臓の働きも充実します。胃腸の活力もグンとあがります。このような大切な時期に体育以外は運動しない子供たちがいることに大変な危惧を覚えました。

 「学生時代に何か運動していましたか?」

 私は、新しい患者を診るとき必ずこう聞きます。学生時代に培った元気がどのくらい大きいものか治療の参考にします。大きい人は、少し鍼の手助けするだけでよくなります。少ない人は、はじめに無くなってしまった元気を増やす必要があります。
 
 社会人になると運動する機会がほとんどありません。今の小学生が大人になったときに、ストレス社会の荒波に何人立ち向かえることができるでしょうか?

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2010/12/15

変えられるでしょうか? 2

 「決断の前にここにきて針治療をうければ良かった」 針治療を受けたあとK子さんはポツリと言いました。

 いつになく硬い表情には何か訳があったようでした。彼女は、会社にリストラ勧告され、一人暮らしを続けるか、実家に帰るか、新しい仕事を探すか、悩んで体調を崩したようです。落ち着いていたアトピーがひどくなり顔が赤くかさかさになっていました。ストレスにより感情のコントロールが上手にできないまま不本意な決断をしてしまったのでしょうか?

 決断の前に針治療を受けていたら・・・自分のおかれている立場、正しい状況判断が出来、悔いの残らない結論を出すことが出来ただろうと思ったそうです。重い体が楽になり、もつれた糸がほぐれるように心が軽くなったため、「針治療を受ければ良かった」と言葉が口について出てきたのだと思います。

 私は、K子さんの体にどんな鍼l治療をしたのでしょうか?

 脈、舌、顔色、お腹、を診て、K子さんの話も参考にしました。

 顔の赤みとかさかさをとるための清熱滋陰の曲池、合谷、解渓、復留穴。肝気が伸びやかになり肝のストレスがアトピーを悪化させないようにする太衝穴。ホルモンバランスを整える三陰交穴。神経を安定させる心ゆ、意舎穴などに鍼をしました。

 彼女の言う悔いのない決断がこの先揺るがないようにと祈りました。

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2010/12/09

変えられるでしょうか?

 鬱屈した思い、無表情、そんな面持ちでM子さんは針治療に来られました。33歳、

 責任感があり、同僚の無責任な仕事ぶりにいらいらしていると話してくれました。過敏性大腸炎が彼女の病名。既往歴に子宮内膜症があります。

 無表情の中に彼女の鬱積した思いが閉じ込められているのがわかりました。顔の筋肉がなめらかに動いていないということは、胃腸の動きが悪いということ。ストレスが肝鬱を生じいらいらの毎日。外に発散しなければ身体の中に症状が出てきて当然です。

 「この性格を変える事ができるでしょうか?」と聞かれました。

 鍼治療をするということは、身体の調子を整えているということ。肝の気が動き出すと、気持ちが伸びやかになりいらいらが減ります。体調が良くなれば、考え方が変わり、考え方が変われば、体調が整う・・・と話をしました。彼女の表情に乏しい顔に一瞬の変化。顔色が良くなり笑みがもどりました。

 そのためには婚活を視野にいれて行動を起こす。、散歩をして足を動かす、適度な運動をする、風呂上りに柔軟体操をしてくださいと伝えました。

 鍼治療が、変えたい思いを後押しする手助けになればなぁと思います。

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2010/12/02

アトピー性皮膚炎 9

 「努力が報われた、(医師の説明が)心にしみた」5歳のアトピーの子供をもつお母さんはこう言いました。

 朝日新聞、朝刊、生活面「患者を生きる」で皮膚を題材にした「子供のアトピー」の連載が5回にわたって掲載されました。私の次女のアトピー及び少なからずのアトピーの患者さんの鍼治療に携わっているため、興味深く読みました。

 札幌市に住む女性の2歳の次男は、滲出性のアトピー性皮膚炎で痒くて夜も寝る事ができない状態でした。かきむしらないように、手に手袋をはめジクジクの皮膚には包帯をぐるぐる巻くしか方法はありません。ハウスのダニやダストを徹底して掃除し、部屋をクリーンにする。アレルギー除去食を徹底する、ステロイドを塗れば症状は治まるけれど止めると悪化の繰り返しで、途方にくれていました。

 東京の国立成育医療センターへ1ヶ月入院が転機になりました。

 強い炎症を治めるために身体中にたっぷりステロイドを重ねて塗る、1日3回の入浴で皮膚の丁寧なスキンケアとバリアケア。ダニなどの悪化要因を減らす。両親の不安を取り除くために医師は納得がいくまで説明しました。「アトピーは、努力が報われる病気です、症状に応じて段階的にステロイドをへらせば、再び量が増える事はありません」と。それから3年の現在、肌はなめらかになりステロイド剤をぬることは月に一度位まで減ったとのこと。医師の言うとおりにして冒頭の「努力が報われた」そうです。

 私は、新聞の女性のように手放しに喜べませんでした。次女のアトピーの時もステロイドの選択は思いとどまりました。これは、決して治す薬ではなく症状を押さえるだけのものだからです。効かなければ更に強い薬が投与されるはずです。ステロイドでアトピーを押さえ込みコントロールしているのが、医学的に治ることなのだと思い知りました。

 東洋医学ではどのように考えるのでしょうか?

 アトピーは肺の病気です。肺をそつうしてその機能を高めなければなりません。針治療や漢方薬が有効です。その上での一時的なステロイドの塗り薬を使うという方法は選択肢の一つにしてもかまわないと思います。いかに、体調を整えるか?百人百様のアトピーは手ごわいのです・・・・・。

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