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2008/05/16

たすけ鍼

 「たすけ鍼」 山本一力著 朝日新聞社刊を読みました。時は江戸、ツボ師の異名を取る鍼灸師染谷先生のお話です。

 染谷先生は齢い60歳。鍼一本、艾一握りで病を治します。深川一帯では名が知られている彼の治療院には一日に40人以上患者が来院します。しじみ売りの六兵衛の膝痛を治したり、十数人の食中毒の患者を足の裏内庭のツボに灸をすえて治していました。今は無くなってしまった江戸庶民の暮らしぶりが生き生きと描かれています。当時は西洋医学は入って来ておらず、病人は東洋医学に頼るしかありません。当時の鍼灸や漢方薬がどのように庶民の中に受け入れられていたのか想像するのが楽しくなる内容です。
 藤枝梅安先生の必殺仕掛け人の暗いイメージは全く無く人助けの鍼。溺れかけた深川米問屋の主 野島屋仁左右衛門の命を助けた縁で、天候不良による米不足解消に一役買いました。
 
 江戸の何気ない暮らしとその風景、現代の何気ないくらしとその風景。染谷先生の治療室とベーネ南船場治療院。当時と現在が重なりあい私も染谷先生のそばについて治療している気分でした。現在は西洋医学が国第一の医学に取って代わってしまったので庶民の認識も西洋医学一人勝ちの感があります。江戸時代と比べて寿命が飛躍的に伸び人を取り巻く環境も変化しました。時には染谷先生のゆったりした鍼治療を受けてみるのも面白いかもしれませんよ。

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