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2006年1月

2006/01/31

アンリ・マチスの「金魚」

kingyo
透明な金魚鉢から、赤い金魚が四匹こちらをのぞいていました。
私の心を見透かすかのように目と目が合いました。
重い心・重い体を引きずって、気分転換でもしようと、大阪のプーシキン美術館展を訪れた休日の午後のこと。

ガラスの金魚鉢、四匹の赤い金魚、せわしげに動く丸い口。ガラス越しの緑葉がよけいに鉢の透明さを浮きたたせているようで。妙に引きつけられて、絵の風景を理解しようと思った時でした。

マチスの金魚は1900年代初め、オリエンタリズムのあこがれとして、一般に金魚が観賞魚として広まっていた頃に描かれたものです。
雑然とした背景の中で、私が金魚をのぞいているのか、私の心を金魚にのぞかれているのか。主客が入れ替わるような倒錯感の中で不思議な気持ちになりました。
うつろな私の目に飛び込んできた赤い金魚の目。先程まで混乱していた思考回路は、方向性をもって順に回り出しました。同時に、背中にあった心兪穴(ストレスなどがたまると硬く張ってくるツボ)のストレス玉がゆらゆら揺れて、ゆるやかに変化しながら消えていく。それを客観的にながめている自分に気がつきました。

重い心を動かしたものは何?

それは、人によっては優しい言葉。友人とのおしゃべり。耳から聞こえてくる歌。美しいメロディー。口にする食べ物。自然の中のあたりまえの現象……。この時の私には、一枚の絵がそれでした。

帰りにマチスの「金魚」の絵はがきを買い求めました。
視覚の中に金魚が飛び込んでくる→本物の絵を見て立ち尽くした感覚がよみがえる→重い心が軽くなった
という一連のことが瞬時によみがえると思ったからです。

気分転換の必要性を強く感じた一日でした。

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2006/01/27

餅 一年分の滋養

「寒中に餅をつくとカビがはえない」
「旧正月から七草までの一週間、餅を食べると一年分の滋養をつけられる」
と昔から言われています。

陰暦カレンダーでは大寒からこちら、月がどんどん欠けて、1月28日は大晦日です。

人の身体は月と同じように、一年のうちで最も気血の流れが悪く、胃腸がまったく動かなくなります。一年のどん詰まり、とどの詰まりという訳です。

温かくて消化の良いものを食べるようにしてください。

一夜明ければ、待ちに待った旧正月。中国では爆竹の大きな音が街中に鳴り響きます。それとともに、人の身体は徐々に始動を始め、詰まりから解放されていくのです。

本来、餅は腹持ちがよく、食べ過ぎると胃もたれ・痰がからむ・咳が止まらない・みぞおちがつかえて心臓が苦しくなる・小便が出にくい・膝痛などの症状が出やすくなります。

例外は授乳中のママ。餅を食べるとお乳がよく出るようになります。

ベーネ南船場治療院では以上の理由により、新正月は形だけのお餅とし、旧正月にしっかり食べてくださいとお願いしています。

ラジオを聞いていると、北国地方の大雪。ロシアではマイナス40~50度の厳しい寒さで都市機能がマヒしているとのこと。

素直に、春を待つ幸せを感じました。

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2006/01/20

ベーネ南船場治療院には2種類のカレンダーが掛けられています。1つは通常の太陽暦(新暦)カレンダー。あと1つは、月の満ち欠けをみればそのまま日にちがわかるようになっている陰暦(旧暦)カレンダーです。

今年の1月1日、新暦の正月は終わりました。陰暦では、今、12月の師走の真っ最中。旧正月は1月29日、春節の行事は各地で行われます。横浜や神戸の中華街では、爆竹が鳴り響き、獅子舞が町を練り歩きます。田舎でも旧正月を盛大に祝うところが多くあります。

1872年、日本はこれまでずっと使われてきた陰暦から陽暦に切り替わりました。しかし、農作物などを作るには陰暦がどうしても必要ですので、陰暦カレンダーが売られています。

中国から伝わってきた針灸治療も陰暦と深く結びついています。1年を24節気に分け、季節により、治療法・ツボの場所・針の深さ・養生法が全く違います。新月・満月前後には人の身体は月の影響を受けやすくなります。脈の変化・消化吸収の渋滞・気分の躁鬱・腎石痛・睡眠障害などが起こります。

実際の臨床上では、陰暦カレンダーを見て、季節の特徴を頭に入れ、月齢による身体の気血の変化を予測し、その日の天候・気温・湿度・時間帯などを考え合わせて治療を進めていきます。

今日は大寒。1年でいちばん寒い時期。あと少しで春節。節分が終われば立春。暦の上では春。春が待ち遠しいです。

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2006/01/10

落枕

大晦日の日に首が回らなくなりました。別に借金があったわけではありません。(^^;)

前日まで治療の仕事をし、その日のうちにがんばって家中の掃除・洗濯・正月の用意をしようという朝のことでした。寝違いを起こしてしまったのです。

寝違いは中国医学の用語では「落枕(らくちん)」といい、夜中に寝る姿勢が悪いために首や肩が痛むことを指します。
ひどい時には僧帽筋など首のいろいろな筋肉が板状につっぱり、前後左右斜めのどの方向にも曲げることができなくなります。

この時、あんま・指圧・マッサージなどは厳禁。もちろん自分で叩いたり、揉んだり、S字状のマッサージ棒で押したりすることもいけません。板状につっぱった筋繊維を一枚ずつ無理矢理はがすことになるからです。その部位が打撲・捻挫状態になってしまい、完治するのに1週間以上かかります。

さて、私の寝違いですが、患者さんになら「枕の高さが合わなかったんじゃないの?」なんて軽口も叩けるんですが、自分自身の痛みですからとっても切実でした。

忘年会・クリスマスとごちそうが続き、食事の消化と吸収が大忙しで胃腸の中は大渋滞。年末はあれこれ忙しくて睡眠不足。一方、運動は冬休み。これではお金の借金はなくても、身体に対して健康の借金をしているようなものだと大反省。

掃除の合間に、落枕(左手の甲、人差し指と中指の間)や曲池(肘を曲げてできるシワのいちばん内側)という寝違いに効くツボを自分で押さえ、首の痛みを一時的に和らげました。

紅白歌合戦が始まる頃、一日のスケジュールが終了。入浴後、首にさわらないようにストレッチを行ない、除夜の鐘が鳴る頃、家族の誰よりも早く就寝。正月中に体調を整え、身体の借金を返上しようと思いながら床につきました。

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