歌舞伎と鍼灸(広がる裾野、悩める古典芸能)

 「平成歌舞伎、活況の先」にという記事が3月25日朝日新聞朝刊文化文芸欄に掲載されていました。


 「スーパー歌舞伎 ワンピース」「NARUTO ナルト」「風の谷のナウシカ」と、原作漫画ファンや子供たちをも取り込んで活況をあびています。歌舞伎は、江戸時代以来読み本や講談など他のジャンルからの題材などを採りいれて観客をひきつけていました。いわゆる古典歌舞伎の中にある近世の風俗を踏まえての出し物でした。


 それが、平成歌舞伎の人気には、現代風でわかりやすい、なじみのない堅苦しさから離れ自由な発想が成功しているというのです。新しい題材に挑戦する背景には、1960-1970年代の歌舞伎人気の低迷にあります。どんなに歌舞伎スターを投入しても観客が半分以下が続いたと。「古典歌舞伎の維持、継承だけではだめだという反省からの発想の転換。みごとに立ち直ったかにみえます。


 現に、「歌舞伎、能、狂言」における2017年 観客動員数推計241万人超えといわれています。悩みどころはいつものことながら本流(古典芸能)への回帰。これをはたしてこそ本来の歌舞伎の姿なのだろうと思います。


 東洋医学の鍼灸に立ち返ってみましょう。


 2000年前からの古典「黄帝内経 素問 霊枢」(こうていだいけい そもん れいすう)を継承し現代まで伝承されてきました。内容は難しく理解しにくいため、たくさんの流派にわかれました。時代により盛況になるものと衰退するもの。本流がよく見えなくなっています。日本に伝わると日本独自の発展がみられました。


 裾野の広がりとしては、肩こりや腰痛ははり治療が効くというのをOLさんから年配の人まで幅広く知っていることでしょう。本当は、風邪を引いたり生理不順など治療できる範囲は無限大です。


 古典の伝承を担っているわたしたちは、裾野更なる広がりと、はり灸の本流というものが何なのか 皆様にお伝えしていきたいと思います。

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2019/05/20

生け花と望診

 花器を正面に、斜めにかかる若葉のもみじ。限りなく垂直に伸びる菖蒲の葉。吊り下げられた花器からは、180度対応の風景。

 百貨店の生け花展に遭遇しました。大和未生流。

 春の季節にふさわしい材料がふんだんに使われていました。一つ一つ正面、斜め、後方、2-3歩下がって見たり。お花が美しい、みずみずしい。つぼみが膨らみ満開を想像するのも楽しい。

 最後に家元の作品がありました。老松と赤いぼたん。一目見て難しいと思いました。老松はみずみずしくなく、緑がさえない。赤いぼたんは、おおぶりで、色艶よく、つぼみから花開いたばかり。対照的な二つが接近した位置ではよくわかりませんでした。

 数歩下がってみました。

 なんとなくわかりました。

 その日、97歳の父親のはり治療をしました。接近戦ではよくわからないのはいつものとおり。数歩下がってあの家元の作品をみるようにながめました。手足のしわや血流の悪さは老松のよう。脈をみてはり治療を施しました。顔の色がよくなり、手の老人特有のどす黒い肌色がなめらかなきれいな肌色に変りました。

 老松は、赤いぼたんのみずみずしい息吹に官能して息を吹き返しているように見え、97歳の老松は、はり治療で末端の手足から顔にかけて気血がゆっくり廻りました。

 こんな生け花の見方、人の望診も有りかと思います。

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2019/05/16

ハンバーグの口

 むくんだ顔。表情にとぼしい。覇気が全く感じられない。

ゴールデンウイーク10連休明けの朝、Oさん(30代男性)ははり治療に来られました。

 昨年末よりベットから朝起きれない。何もする気になれない。すべてがおっくう。夜も薬がないと寝れない。食欲ない。仕事が行けなくなった。心療内科で薬を処方してもらっている。

 今日は何時に起きた?

 10時に起きました。

 がんばって時間に遅れないで来たね。朝ご飯は何を食べた?

 野菜ジュース。

 昨晩は?

 納豆、ご飯、カット野菜、

 それだけ?

 買い物に行かなかったのでそれしか食べるものが無かった。

 買い物行く日は決まってるの?

 病院行く日とここ(べーね治療院)に来る日だけ。あとは家に居る。

 延々の会話の中で何か糸口はないかと毎回疑問に思ったことを聞いています。今回のキーワードは何事にもおっくうという言葉と好きな食べ物がハンバーグであること。今は食べる気がしない、お腹が減らないといいます。

 第一番目のはり。胸をひらき消化を促進する内関(手首内側少し上)と公孫(こうそん、膵液を出し消化をよくする、足の内側、親指の付け根後方)、内庭(ないてい、薬の副作用を取り除く、足2-3指の股)、三陰交(さんいんこう、七情をコントロールする、足内側くるぶしの上)・・・

 はり治療が終わりそっと顔色や表情をうかがいました。表情筋がすこし動いてくれていました。はりで体調を整えると心が整い、心が整うと体調が整いやすくなります。

「ハンバーグの口、ハンバーグ食べたいモードにしましたよ、胃腸がしっかり動いているよ」

「食べたくなった」

「帰り道、お店探してみたら良い」

 心療内科の治療、はり治療、良い面、足りない面を見極めながらOさんが一歩でも前へ進めますように。

 

 

 

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2019/04/30

太極観 (第一番の選択)

 ヘルニアの患者さんを往診しました。激痛で5日ベットに寝たきり状態。

 幸い仰向けだったのでくまなく身体を触ることができました。左腰下部、臀部奥までかがむと激痛。ヘルニアの手術を昨年されたので再発かもと思いました。幸い、特有の足のしびれがなかったので少し安心。

 太極観(第一番の選択)をよく考えて次のように穴を取穴。復溜(ふくりゅう、腎虚を治す穴、足の内側下方)、委中(いちゅう、腰背を主治、腰痛の特効穴、膝の裏中央)、内庭(ないてい、きつい痛み止めの副作用を取る、足第2,3指の股)、太衝(たいしょう、ストレスを取る、足の親指の股)、環跳(かんちょう、腰痛の特効穴、股関節上部)、崑崙(こんろん、腰痛の特効穴、足アキレス腱の外側)。

 痛み止めのはり、環跳か委中を一番に打つはずでした。第一番のはりは、効果が50パーセントだからです。それを、ヘルニア原因の腎虚を50パーセントにもっていきました。この患者さんは腎虚をしっかり補って、腰すべてをカバーして欲しいと思ったからです。べつの腰痛の人には、環跳を打ったほうが良い場合もあります。この時は打つ理由が5つ以上思い当たりました。

 太極を見極めること20分。動き出したからだの反応に遅れないよう何手か穴を繰り出し、結果的に早く治療をおえることになりました

 人のからだの病を診て、勝ち出る時、和解する時、形勢を逆転させようとする時、50パーセントの第一番、選択の妙(太極観)を考えることの大切さを改めて思いました。

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2019/04/18

 火季 火の粉が舞う?

 大阪の桜は葉桜。目を下に向けると、色とりどりのお花の競演です。

肌寒い、冬に逆戻りしている?というような日を経て4月20日は二十四節季の穀雨。春雨が土に水を含ませ、種まきの準備。寒のもどりもなくなり過ごしやすい季節。

 昨日までの朝夕の気温差と吹く風に首をすくませていました。今日は、太陽のめぐみがうれしい暖かさでした。春の陽気は良いこと尽くめだけではありません。

 最近は、からだを防衛している皮膚表面が火(太陽)にあぶられてやけどを負っているような脈があらわれやすくなっています。はり治療に来られる10人のうち7-8人ぐらい。穀雨から火季が始まるのですが、一ヶ月以上前から増え続けていました。今は火の勢いが強くなって自覚症状としてのどの渇きが出たり、のぼせ症状、顔が赤くなったり、アレルギーが悪化したり。天気が良いので運動しようとして怪我をしたり。

 火で炙られた脈は火の粉がちりちり舞っています。おもしろいですね。太陽の恵みを受ける人にとって諸刃のやいばというところでしょう。避けて通ることはできません。

 はり治療では、からだの胸の辺りのつまりは手の内関穴を取穴。委陽(膝の裏)や解渓(足関節前面)で燃え上がっている火を鎮めます。

 皆さんは、のどが渇くと水分をがぶがぶするばかりではいけません。朝食に発酵した納豆やたくあん、味噌汁などでお腹の調子を整える。適度の運動をストレッチとともに行う。

 諸刃のやいばの意味を思い出しながら、春の陽気を取り入れましょう。

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2019/04/01

腰痛とロキソニン

 腰にロキソニン湿布。クの字に折り曲げてベットに横たわるU子さん(OL)。

 ぎっくり腰4日目。整形外科にてロキソニンとロキソニン湿布を処方してもらいました。ベットでじっとしていること2日。昨日は這うように仕事に。座ってパソコンを打つことができたといいます。ロキソニン4日、湿布4日目。お母さんに連れられてはり治療へ来られました。

 はり治療は初めて。痛いのは大嫌い。しかし、クの字の腰。

 細心の注意をはらって、痛み止めのはりを手足の腰腿点(手の甲、足の甲にあります)に打つとクの字がとれてまっすぐに寝れるようになりました。緊張のあまり冷や汗をかくU子さん。よくよく聞いてみるとシャワー生活。おふろに入る時間が無い、めんどくさいとのこと。足は冷たい湿寒の汗。上半身は、冷えのぼせ、下半身は冷えています。この状態をとらないと腰痛は良くなりません。

 ドクターは、ロキソニンで痛いというのを頭でストップさせ、患部の腰に痛みを止める処方をしてくれました。しかし、頭と腰をつなぐ回路が充実しないと腰が不安定となります。そのことをゆっくりお話しながら次の穴にはりをしました。右交信(足の内側)、右衝陽(足の甲)、右委中(膝裏)、左三陰交(足の内側)、左陰谷(足の膝の内側)、左環跳(股関節外側)。

 ある時はゆっくりはりを回し、ある時は、さっと抜く、顔をしかめる前にひびかせて抜く、なだめすかしてはり治療を早めに終えました。半泣きの手前でした。これから湯船につかることを約束してくれました。

 薬と湿布を2週間まるまる使って、ぎっくり腰を治す人がほとんどなのでしょう。

 今さながら、腰がはやくしっかり安定するには、はり治療が良いと思いました。

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